レザークラフトで作った革小物の仕上がりが『イマイチでがっかりした』なんてことありませんか?
とくに初心者のうちは、レザークラフトの経験が浅く、実力不足も否めません。
しかし、レザークラフトをやっていると、実力不足とはわかっていながらも、いつか理想の作品を作ってみたいと思うものです。またそれが、レザークラフトの魅力のひとつでもあります。
なぜなら、レザークラフトをはじめて21年のプロ(私)でも、いまだに試行錯誤を繰り返しながら、技術の上達を愉しんでいるからです。
そこでもし、誰でも簡単に革小物をきれいに魅せるポイントがあれば、教えてほしいと思いませんか?
本記事では、革小物の仕上がり具合がたとえ50点だったとしても、出来栄え点を70~80点にアップさせるポイントを解説していきます。
革小物をきれいに魅せるポイントとは?
革小物をきれいに魅せるポイントとは、【正しい材料の選択とコバ(革の切り口)仕上げ】です。
まずは正しい材料の選択ですが、レザークラフトのベテランでも、材料の選択を間違えると出来栄え点は下がります。一方で初心者でも、正しい材料の選択をすれば出来栄え点は上がるのです。
そしてコバ(革の切り口)は、製品のこだわりが最も表れるところです。とくに、初心者の多くは残念ながら、コバの仕上げを疎かにしています。
私の本業は革の財布やバッグの製造ですが、今までに有名ブランドの下請け生産を数多くこなしてきました。その経験のなかで有名ブランドには、いつも正しい材料の選択とコバの仕上げにこだわる共通点がありました。
一方でノンブランド(有名ブランド以外)では、材料の選択やコバの仕上げを丸投げすることが多いのです。おそらくこだわるポイントは何もないのでしょうね。
当然のことながら、有名ブランドとノンブランドとのこだわりの違いは、商品の出来栄え点に雲泥の差となって表れます。
ですから、具体的に3つのポイントだけにはこだわりましょう。
- 縫製(手縫い)にはシニュー糸を使う
- 金具はデザインとメッキでこだわる
- コバ(革の切り口)仕上げにこだわる
ではそれぞれについて、くわしく解説していきます。
縫製(手縫い)にはシニュー糸を使う

縫製(手縫い)には、【シニュー糸】がオススメです。
なぜなら、縫い上がりの糸が革によく馴染んで見た目がよいからです。
元のシニュー糸は動物の腱で出来ていました。今ではナイロンやポリエステル素材のものが多く、太くて断面は平らな形状をしています。
糸を裂いて、太さを調整できる特長があって、あらかじめ蝋(ロウ)が引いてあるので、ひと針ずつ締まって手縫い作業もはかどります。

とくに手縫いでは、縫い上がりの糸をハンマー(小槌)で叩いてならします。この仕上げ作業が、商品の出来栄えをアップさせるポイントになるのですが、実はこの作業をやらない人が多く、私は残念に思っています。
縫い穴の多少の歪みや曲がりは矯正できますので、縫製(手縫い)には、なるべく太いシニュー糸を使いましょう。
金具はデザインとメッキでこだわる

金具にはこだわりましょう。こだわるポイントは、【デザインとメッキ】です。
レザークラフト初心者の多くは、金具に選択肢はないと考えています。ネットを少し検索しただけで、くわしいことはわからないから、最初に見つけたものでいいと妥協してしまいます。
ベルトのようにシンプルなアイテムでも、バックルのデザインひとつで商品の見栄えがアップします。また、メッキのコーティングのやり方やカラーでも見た目がガラッと変わります。

今や東京の浅草や浅草橋は革の聖地となり、個人向けのレザーショップには多くのユーザーが訪れます。
では、東京の金具の聖地(集積地)はどこかというと、『台東区三筋2丁目界隈』に多くのショップが集まっています。
大半のショップは、個人向けに小売りしていますので、革の買い付け(仕入れ)とあわせてお出かけください。
金具には、耐食性や摩耗性に優れた金属メッキもありますので、『有り物』では済まさずにこだわりましょう。
コバ(革の切り口)仕上げにこだわる

コバ(革の切り口)の仕上げには、最もこだわりましょう。
コバ処理を疎かにしている商品は二流品以下です。
なぜなら、先に有名ブランドとノンブランド(有名ブランド以外)の違いを伝えましたが、最もユーザーが目や手に触れるところであり、さらに作り手(職人)のこだわりが発揮されるからです。

一般的なコバ仕上げとは、コバをカンナで面取りして、仕上げ剤を与えながら、サンドペーパーやへり磨きなど滑らかに整える作業です。レザークラフト初心者でも理解している作業ですよね。
しかし、同じ工程を1回、2回、3回と繰り返すほど、滑らかに変化することはあまり知られていないようです。実は、変化に気づかないといったほうが適切かもしれません。
ですから、多くの初心者はこの作業を怠けます。変化に気づかないから・・・
私はコバを『ウエス』で磨くことをオススメします。ウエスとは、機械の油を拭き取るときに使う布ですが、着古したシャツの端切れでも構いません。
なるべく生地がやわらかく、サラッとした表面のコットン100%のものがとくにオススメです。
このウエスを使って、磨きの同じ工程を3回以上繰り返すだけで、コバの仕上がりが見違えるほど滑らかに整います。

他に革の種類によってもコバの仕上がりに差が出ます。『イタリアンレザー』のようにオイルを多く含む革は、少しの手間でもコバがきれいに仕上がりますので、ぜひお試しください。
まとめ
レザークラフト初心者でも簡単にできる、革小物をきれいに魅せるポイントを3つ紹介してきました。
今までの革小物の仕上がり具合は50点だったとしても、【正しい材料の選択とコバ(革の切り口)仕上げ】にこだわるだけで、出来栄え点が70~80点にアップします。
とくに独学のレザークラフトでは、良い素材や便利な道具、優れた加工方法の情報を入手するにも限りがあるでしょう。
私は本業で、数々の有名ブランドの生産を請け負いながら、技術力を向上させてきました。この革小物をきれいに魅せるポイントも、自分の実践経験のなかから学んできたのです。
他社からの請け負いでも、自分が作った製品の出来栄えが良いと感じられたときには、最高の気分です。もう職人冥利につきます。
レザークラフトで自分が作った作品の出来栄えが良ければ、尚更でしょう。
もしかしたら、革小物をきれいに魅せる一番のポイントは実践経験を重ねることかもしれませんね。
では、これからもたくさんの作品を作り続けてください。
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