「自分で型紙を作製したことありますか?」
レザークラフトで作品を作るときには、型紙は必須ですよね。
はじめのうちは、レザーショップなどで手に入れた型紙を使ったり、本に付録の製図をトレースして型紙を作ったりすることが多いのではないでしょうか。
なぜなら、型紙を作製することは簡単ではないからです。むしろ裁断や革漉き、縫製といった作業全体のなかでも、群を抜いて高い技術力を要するからでしょう。
またこの技術は、レザークラフトの教室やスクールに通わない限り、独学で習得することは難しいのです。
もし、自分が作りたいアイテムの型紙が手に入らないときには、どうしますか?この場合には、レザークラフトのサンプル師を探して依頼するか、自分で作るしかないでしょう。
そこで本記事では、これから型紙作製を学ぼうとしている初心者に向けて、あらかじめ注意すべき点を紹介します。
レザークラフトの型紙を作製する前に準備したいこと
型紙設計の技術を習得することは、一朝一夕にはいきません。
なぜなら、革の厚みと重なり具合を計算しながら、折る動作や畳む動作を型紙に組み入れなくてはならないからです。複雑な立体構造になれば、数学的な計算式も必要になります。
一方でパスケースのように、革を重ねてポケットを付けるだけのシンプルな平面構造のものは、型紙作製の第一段階にふさわしいアイテムといえます。
まずはパスケースの実物を見本にして、タテ・ヨコ・高さを測りながら型紙作製をはじめましょう。
しかし、作製の技術を学ぶ前に、準備しておきたい材料や道具が【3つ】あります。
- 型紙の材料
- カッターナイフと革包丁
- スチールと透明のプラスチック定規
では、くわしく解説していきます。
型紙の材料

型紙に適している材料の条件は、まず簡単には破れないこと。さらに角や端が折れにくく、表裏が剥離しないことです。
型紙の材料は、【紙(Paper)】(基本的には)を使います。しかし、紙にも材質や硬さ、厚みなど違いがあり、種類もさまざまです。
なぜならすぐに変形してしまう紙では、使い続けていくうちにサイズやバランスも変わり、正確な型紙が作れないからです。
一方で『厚みがあれば硬くて丈夫!』と思いがちですが、実は違います。ダンボール紙を例にしますが、単に厚みがある紙では、すぐに表裏が剥離して使い物になりません。
昭和時代に活躍した革職人は、型紙にカレンダー(壁掛けの)をよく使ったそうです。
一見すると、セコいリサイクルだなと思うかもしれません。しかしカレンダーに使用している紙は、薄くて丈夫な条件を兼ね備えているものが多いので、理にかなっています。
ですから、「型紙にはカレンダーを!」とまでは言い切りませんが、紙は薄くても、丈夫な(破れない、変形しない)ものを選びましょう。
カッターナイフと革包丁

型紙の作製には【カッターナイフ】を、革の裁断には【革包丁】をオススメします。
レザークラフトのワークショップを主宰していると、「革を裁断するだけなら、カッターナイフだけでもいいのでは?」とよく言われます。
答えは、裁断する相手(素材)によって、刃物は使い分けましょう。
なぜならカッターナイフの刃は、先端から自分の手元に向かって刃が続いていますが、裁断に使われる箇所は刃先のみです。ですから、紙のように薄い素材でも切り切ることができて、小回りも効きます。
一方で革包丁は、刃先端の幅がそのまま刃先となり、刃幅全体を使って裁断します。革のように厚みがある素材には、カッターナイフのような薄い刃では切り切ることが難しく、厚い刃の革包丁が有効的です。
ちなみに私は、36ミリ幅と30ミリ幅の革包丁を使い分けています。
カッターナイフの利点は、切れ味が鈍くなると、簡単に刃を折るなどして新しい刃に交換できます。しかし、革包丁は切れ味が鈍くなると、刃先全体を研がなければなりませので、刃を研ぐ技術も必要になります。
ですから、紙と革とでは刃物を使い分けましょうね。
スチールと透明のプラスチック定規

定規は、【スチール】と【透明のプラスチック】とを使い分けましょう。

スチール定規は、はじめに300ミリ(30センチ)と150ミリ(15センチ)の2種類は用意したいです。
ここでのポイントは、定規の端が目盛り0(ゼロ)ではじまっていることです。さらに、片方(手前)の目盛りが0.5ミリで刻まれていると、より正確に製図ができます。
そのうえ、この2種類を組み合わせると、L字型をした曲尺(かねじゃく)のような使い方で、四角形や角度(直角)の製図にも力を発揮します。
大きいサイズのバッグを作るようになったら、600ミリ(60センチ)や1000ミリ(1メートル)の長い定規も揃えましょう。

そしてプラスチック定規は、透明で定規の本体にも目盛りが刻まれているものを用意しましょう。
なぜなら、型紙の歪みがひと目でわかるからです。さらに、カッターナイフを沿わせる面だけでも、スチールに覆われていれば、定規が削られることもありません。
長さは300ミリ(30センチ)もあれば十分です。
製図には、スチールと透明のプラスチック定規とを使い分けましょう。
まとめ
レザークラフトでは、自分で思い描いた作品を作る第一歩が型紙の作製です。型紙の作製ができるようになると、さらにレザークラフトの愉しみが広がります。
ここまで型紙作製の技術を学ぶ前に、準備しておきたい材料や道具【3つ】をくわしく解説してきました。
型紙は材料にもこだわりましょう。
市販されている紙は、すべて角が直角(90度)で同じサイズと思っていませんか?実は違います。これは海外製のものに多く見られますので注意しましょう。やはり国産(日本製)の紙がいいですね。
刃物なんて、カッターナイフも革包丁も同じだと思っていたら・・・
定規なんて、スチールもプラスチックも同じだと思ったいたら・・・
これらも違います。『百聞は一見にしかず』です。
ぜひ両者の使い勝手を試してみてください。
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